懐かしくて、あたらしい。
伝統とモダンが共存するうつわ。
いつもより背伸びをしたい特別な日も、
何も変わらない普段の日も、
ちょっと素敵な器があるだけで、そこはもう、胸躍る空間──。
この秋、nooksはそんな魅力にあふれた器に出会いました。
ふたつとして同じ模様、色は存在しない神秘。見て、触れて、仕舞ってうつくしい、引き締まった佇まい。素朴だけど奥深く、使うほどに内側から滲み出る妙味。
ただ、じっと見つめていたくなる器。
それが『かいらぎ』です。
かいらぎとは?
エイやサメ類の硬い突起のある魚皮のことをかいらぎといい、戦国時代や江戸時代にはその皮を研いで刀剣の鞘や柄の装飾に用いていました。このとき、研いだ皮が梅の花びらに似た模様をしていたことから「梅花皮(かいらぎ)」と書き表されています。
焼き物においては、茶碗を焼く際に焼成不十分によって溶けきらなかった釉薬が縮れて残った状態で、その表面が梅花皮に似ていることから「かいらぎ」と呼ばれるようになりました。
陶磁器製作の工程においては不完全で未完成ととらえることもできますが、昔の茶人はそれを“味”や“趣”と感じ取り、独特な模様に価値を見出したのです。
かいらぎは、そんな日本人の「粋」を感じることができる器です。
かいらぎが、こんなにも魅力的な理由とは?
繊細な縮れ模様
土や釉薬のコンディション、窯の温度に仕上がりが左右されるかいらぎには、当然同じ模様は2つとありません。ひとつひとつが異なる個性を持った1点ものですから、より一層の愛着が感じられるはずです。
どんな素材にも合う乳白色
かいらぎの魅力は、上品で高貴な乳白の色味にもあります。シンプルな中に凛とした存在感を感じさせながら、それでいて普段の家庭料理とも違和感なく調和します。藍や茶色の器とはまた違った独特な雰囲気をぜひ感じてみてください。
手に馴染む艶感
ぷっくりとした膨らみ、細かいザラつき。柔らかな光沢、色ムラや凹凸。和食器の風情の中に見え隠れするモダンな佇まい。手に取ってみると、さまざまな要素が共存する器だということに気づかされるはずです。手にしっとりと馴染むかいらぎの質感を、ぜひ確かめてみてください。
これぞ、かいらぎの楽しみ方
温度や湿度などの気候の変化や窯内での置き場所や火の当たり加減など、日々変化する条件のもと、釉薬の現れ方によっても雰囲気が変わる、かいらぎの器。それは、ひとつひとつ質感や表情がまったく違うということ。nooksでは、それをこのうえない贅沢ととらえています。
量産では決して表現できない温かみや風合いをもったドラマチックな器。そんな、かいらぎの魅力をぜひ堪能してください。
焼きムラ
素地の組織が不均一なため、ひとつひとつの表情が異なり、色ムラと縮れ模様の出方にも個体差があります。かいらぎは、焼成時に溶けきらなかった釉薬が鮫肌のような縮れ模様となって現れるのが特徴で、ひとつの器だけを見ても、部分的に模様の現れ方が大きく異なることもしばしば起こります。
釉だれ
釉薬や化粧土をひとつひとつ手作業でかけていることによるもので、釉薬が垂れた状態に見える部分は、かいらぎの味わいのひとつと言えます。特に椀や丼には、釉薬をかける際に職人が焼き物を持っていた指跡が縁に残っているものもあります。
土の素材感(ざらつき)
風合いを増すために石を多く含む土を使用して成型した器で、細かい石が表面に出ている状態です。その石が成型途中で取れることで凹箇所ができることもありますが、このざらついたアウトラインも心惹きつけられる要素のひとつです。
商品紹介
Maran マラン
焼成時にできた鮫肌状の縮れ模様に錆び色をつけて仕上げた錆かいらぎ。その特殊な製法により特別感ある器ととらえられがちですが、豊富なサイズバリエーションとシンプルなデザインが日常使いにぴったりです。
ほどよい厚みと深さ、高台や丸みにとことんこだわったフォルムが手に持ちやすく、ザラつきが醸し出す素朴な質感で、どんなお料理も素敵な雰囲気に。かいらぎの良さを家族みんなで味わえるシリーズです。
Folklore フォルクローレ
刷毛ムラや土のザラついた手触りが純朴な印象ながら、リムの広さや絶妙な高さによってモダンで上品なイメージも合わせ持つフォルクローレは、和にも洋にも雰囲気を合わせてくれる賢い器です。
その魅力を存分に楽しめる8寸皿は、メイン皿として、また、パスタやカレー皿にも便利。さまざまな食材の質感や色とのマッチングを気軽に楽しみながら、手に取った感触や模様の奥深さをぜひ感じ取ってみてください。
STUDIO M'(スタジオ エム)
愛知県瀬戸市にある食器デザインメーカー、マルミツポテリが展開する食器ブランド。献立を考え、料理を作り、料理を味わい、食器を洗って後片付けをする。それら一連の「食事」と、食事をとりまく「生活」を大切に考え、食器店、飲食店、料理教室などをとおして、つねに新たな楽しさを提案をしながら、暮らしを豊かにする食器づくりをおこなっています。